やりがいとつながりを創出する住まいの総合パートナー

4. お客様のライフプランナー

■業界初のサービス

—— 御社では地域情報誌も発行されているとうかがいました。

山下 もうひとつ、いままでは人でしたが、今度はもののつながりをつくろうということがあります。

どういうことか。よくも悪くも、日本はすぐに新しいものをつくりたがる国なんです。ところがヨーロッパなどを旅行された方はすぐにわかると思いますが、欧米では家を100年、200年の単位で使っている。新築もありますが、基本的には昔からある建物を手直ししながら、つぎの世代、つぎの世代へと継承しているわけです。

日本もいま国土交通省が指揮を執って、もっともっと一般の方が中古住宅を買いやすくなるように、制度を整えてきています。

—— ここ数年、古い公団のリノベーションが注目されていますよね。

山下 おっしゃるとおりです。マンションのリノベーションが最近の主流なんですが、じつは一戸建てについても買いやすくしていこうという動きがあるんです。たとえば築50年のマンションでも、リノベートすればすごくきれいになって買い手がつきます。ところが一戸建てだとこれはなかなか難しい。構造や保証の問題があるんです。

いま私どもが取り組んでいるのが、「いい物件5年保証」という制度です。日本初の試みで、簡単にいうと、たとえば一戸建てを所有のAさんが家をお売りになろうと考えた場合、通常では売却をすると買主に対して3ヶ月間の保証をしなければいけないというルールがあります。どうして自分が売った家を3ヶ月間も保証しないといけないのか、と思われるでしょうけれど、買った方からすれば2000万、3000万の大きな買い物なのに、3ヶ月の保証しかつかないのかと思いますよね。

岩谷 たしかに。どちらにとってもミスマッチですね。

山下 これが自動車の場合、中古車を買うと1年の保証がついたりするケースも多いですよね。そう考えると、中古住宅につく保証はけっして充実したものではありません。ただ、売買される当人様にしてみると、どちらも納得がいかない。どうにか買いやすく、かつまた売りやすい方法はないかということで、昨秋より私どもが始めた制度は、国土交通大臣が指定をしている検査機関に依頼して家を診断してもらい、検査基準をクリアした物件であれば、弊社で5年間の保障をおつけして販売するサービスです。

以前からこうした保険商品はあったのですが、個人で検査費用も保障費用もすべて支払うには、数十万単位の費用がかかってしまいます。その費用をすべて仲介業者の私どもが負担させていただく——この「費用をもつ」という行為が全国初なんです。

■ライフイベントに携わる

—— 商品開発の視点が違いますよね。新しいローンの組み方とか、新しい家のあり方の方に目が向きがちですけれど、資産として残るものが何であるのかを、本当にユーザー目線に立って考えている。どこに協力すれば全員が幸せになれるか。それを徹底して考え抜いている。

山下 あくまで私の個人的な見解ですが、私は自分をお客様のコンシェルジュだと思ってるんですね。別の言い方をするならライフプランナーです。私たちにはさまざまなライフイベントがあるわけですが、私はたまたま住まいの購入を専門的にあつかっているだけです。もしお客様のお子様が学習塾を探しているという話なら、この学習塾すごく評判がいいですよとお勧めしたり、あるいは車のご購入を検討されているなら、評判のいい自動車販売の営業の方をご紹介したり、そういうところまでお客様にご提案をしていきたいと思っています。そうしたかかわりのなかで、「家を買おうと思っているんだよ」という場面があれば、そこのときは専門分野である不動産のご紹介をさせていただく、それくらいでいいと思っています。

これから起こるであろうお客様のライフイベントに携わっていきたい、その一心です。家の販売については、あくまでそれは一部。お客様の今後の人生におけるライフプランを、一緒に設計をさせていただきたいというのが、私自身の思いです。