3. どこまでも人と人
■情報誌「横浜 湘南 散歩」
—— 御社では地域情報誌も発行されているとうかがいました。
山下 3ヶ月に1回、「横浜 湘南 散歩」という無料の情報誌を発行しています。不動産会社は契約したらそこでお客様との関係が切れるといういうことをよくいわれてしまう業界です。ただ、私どもの仕事としては、お引き渡し以降にどうやってお客様とつながっていくかが、ひとつの勝負なんです。
仲介業務は自社物件のご紹介ではなく、いわゆる建売屋さんや建築屋さんが分譲する物件とお客様をマッチングする商売です。家のお引き渡しが終わってしまうと、それ以降のアフターメンテナンスは、われわれを通さずにじかに済ませてしまうことが多い現状があります。ご契約と決済を済ませたら、以降は疎遠になってしまう。それはやはり一番寂しいことなので、どうにかしてつながっていきたい……。そこで3ヶ月に1度、地域情報を集めた冊子をつくって発行することにしました。
横浜の情報誌といえば「横浜ウォーカー」ですが、発行部数は8万5000部と聞いています。それに並ぼうということで、「横浜 湘南 散歩」は現在、7万部発行しています。
—— 7万部!!
山下 みなとみらい線の駅を中心に置かせていただいている以外に、弊社でご契約いただいいたお客様に毎号お送りしています。そういった活動を通してもつながっていきたいということですね。
■キーワードは「つながり」
岩谷 キーワードはつながり、ですね。[urayoko.net]プロジェクトのキーコンセプトのひとつも「つながり」なんです。お話をうかがっていて、コンセプトが似ている、共通項が多いなと感じています。……(情報誌を見ていて)あ、北原さん!
山下 はい、ブリキのおもちゃ博物館館長で世界的にもご活躍されている北原照久様に取材をさせていただきました。北原様には弊社の催し物でもご講演いただくなど、お力をお借りしています。とっても夢のある方で、トークも面白いですし、おしゃれです(笑)。
—— しかし、なかなかできないですよ、ここまで充実した情報誌は。
山下 発刊にあたり、社内にこの事業専門の編集部を設置しました。それも既存の社員だけで。不動産業務しかしてこなかった人間でつくっていますから、なかなか苦労しているようです。
—— 大変だと思います。私は書籍や雑誌をつくる仕事をしているのでわかります。制作にかかわっている人たちは取材をするために街へ行きますよね。そこでまた交流がうまれてつながる。
山下 毎回テーマとなる街が決まっておりまして、その街を歩いてまわって取材することになっています。
—— リストさんの場合、不動産業務も雑誌づくりも、最終的にはかならず「人と人」というところに向かいますね。