人と人、地域と地域をつなげる 新しい「横浜」として

6.さらなる輝きを生む2年目に

■反響と手応え

—— 一年目の参加は16店舗。どんな反響がありましたか。

岩谷 イベント直後、16店舗中15店舗から次回も参加したいという連絡がありました。そういう言葉を聞けて、本当にうれしかった。いいかたちになったんだと。

もちろん店舗さんからは高評価だけじゃなく、いろいろなご意見をいただきました。変な話ですけど、それがかえってよかったというか、やっぱり一年目で参加者全員納得、ということはないと思うんですね。

評価していただけた部分は謙虚に受け止め、ご意見をいただいたところはきちんと検証して今年につなげる。なにより、そうしたご意見を聞けたということ、そういう関係をまずは築けたことがよかった。その意味で、成功したといえると思います。多分、ご参加いただけた店舗さんも、そうした関係でスタートすることができたから、次回もやるよ、といってくださったんだと思います。

数字として見ても、参加店舗を回るスタンプラリーチケットは2000枚弱が流通しました。運営側が把握しているだけでも約3400のスタンプがおされています。平均すると、開催期間中に一店舗あたり200人近くの来客があったことになります。チケットを買わずに[urayoko net]に足を運んだ方もいらっしゃるでしょうから、実際にはもう少し多くの人が、この地域を訪れてくれたことになります。驚いたことに30名もの方が全店舗コンプリートしてるんです。開催前は2、3人いたらいいかなくらいに思っていたので、これには驚くと同時に手応えも感じました。メディアにも取り上げていただけたので、今年もそういう連携をとって、urayoko netをもっと知っていってもらいたいと思っています。

それと、これは思ってもみなかったのですが、[urayoko net]終了後、横浜市からも高評価をいただけました。

—— 行政のほうから、ということでしょうか?

岩谷 はい。[urayoko net]は横浜市から助成を受けているんですけど、じつは最初は「大丈夫?」という印象だったと聞きました。名前も知らないような一企業が地域活性化のイベントをやるといっているんですから、当然の反応ですよね。それをちゃんとかたちにしてここまで出来た、そこを見てもらえたのは純粋にうれしいです。

あとは来てくださったお客様がtwitterなどで発信してくださって。ぼくが見た限りだと、みなさん本当に楽しんでいて、ネガティブなつぶやきは見つけられなかったんです。

■もう一度、手放しに信じてみる

—— そしていよいよ2年目ですね。

岩谷 じつは昨年各店舗からいただいたご意見を踏まえて、今年は参加条件を少し変更したんです。ただ、ここは本当に難しいところで、そのことによって昨年ご参加くださったけど、今年は見送りにされた店舗さんもいらっしゃる。もちろん、去年参加してくださった店舗さんにはできるだけ今年も[urayoko net]を一緒に盛り上げていって欲しですし、すべての店舗が参加できるように条件を変更することもできたかもしれませんが、それはやめました。

—— どうしてですか?

岩谷 さきほどお話したコンセプトに戻りますが、店舗がバス停だとすると、そこをつないでいくバスは人です。[urayoko net]はもちろんこの地域の活性化を目指していますが、一方でここに訪れてくれる人がいないと成立しません。店舗側に立って、店舗のことを第一に考えた条件を整えることで、この場所を訪れてくれるお客様に何か不都合が起きたら、[urayoko net]の魅力がなくなると思いました。

規則や制限を設けるのは簡単だと思うんです。それによって人のことを縛るのも。たとえば、参加店舗ではいくら以上のオーダーを必ずしてもらう、とか。でもそうじゃなくて、この裏横を訪れてくれた人たちが、自分たちでマナーや礼儀をもって、お店と関係を築いて欲しい。それが出来たのが去年だった。だから、青臭いかも知れませんが、ぼくはもう一回、手放しにお客様を信じてみようと思った。

一年目はプロジェクトをなんとか走らせて、各方面から一定の評価をいただけました。今年は昨年以上にイベントの内容を充実させて、この街がもっともっと輝くような力になれればと思っています。