改革は終わらない。利用者に向き合うことこそがサービスを生み出す

3. 知ってもらうことからはじまる

■ニーズに応える

—— お客様の声を聞くといったときに、どういった方法をとられているのでしょうか。

山崎 ある程度の規模のお客様だと、営業の人間がヒアリングをさせていただいたりしています。個人的なお客様向けの調査、いわゆるアンケート形式の調査とか、そういうことも今後はやっていきたい構想はありますけど、ちょっとまだそこまではいっていませんね。でも、その両面でフォローしていければと思っています。

日本郵便ではキャラクターもののかわいい切手なども開発していて、思いの外売り上げをあげていたりするんですね。本当にうれしいのですけど、反面、まだまだお客様が欲しいときに欲しいものをお届けしてないのかなとも思っています。それはニーズにお応えできていないということもありますが、サービス自体を知ってもらえていないケースもあります。

今年度に入ってからはレターパックも、お届けするときに「こちらの商品はご存知でしょうか」とご紹介をさせていただく配達先での営業にもさらに取り組んでいます。意外と知られていないんですよね、「封筒ですよね」みたいな感じで。いえいえ封筒ではなくこれは商品なんですというと、ああそうなのと。ポストに入れてもらっても結構ですし、郵便局にもってきてもらってもいいですとお伝えしたら、それだったら買うわというお客様もたくさんいらっしゃいます。さきほどもお話した認知の問題ですよね。認知が足りない。

■レターパックの冒険

—— レターパックは優れた商品だと思います。利用させていただいて感じたのは、まず価格の低さ。トレーサビリティ機能もついているので、ふつうに投函するよりも安全ですし。こういう商品から、現場の本気度が伝わってきます。民営化する以前は公的事業体のため無駄が多いと批判されていたわけです。現場の人たちがそれをどれくらい真摯に受け止め、事業のスリム化、効率化を図っていくのか、サービスの向上と充実化を図るのかに、期待をしていた方も多いと思うんです。レターパックはその期待に充分応える商品といえるのではないでしょうか。実際にやられてみて反響はいかがでしたか。

山崎 最初は認知も進んでなかったので、「これいいじゃないか!」「うわー、すごい!」という感じではなかったのですが、封筒の設計の丈夫さに加えて、私どもの配達が丁寧なこともあって、1年くらい経ったころにはポスト投函でも中身が痛まないことが認知いただけるようになりました。それでレターパックライトの売れ行きが少し伸びたんですね。

売りはじめたときには販売促進キャンペーンもやりました。お申し込みいただくとワンセットお試しをお届けしますというキャンペーンで、ウェブで受け付けたらあっという間に予約で埋まりました。その時は検索サイトとタイアップして告知戦略を展開したんです。認知度はなかなか上がらないのですが、一生懸命なけなしの知恵とお金で(笑)。

会社のなかにはもっとこうしたことをやりたいとか、やるべきだと思っている人がいるはずなんです。でもこれまではなかなかかたちにできてこなかった部分があると思います。商品をどうやって育てようかというときに、ウェブで受けつけてお試しの商品を送るというのも、レターパックがはじめてだった。