2.本当の顧客目線を目指して
■総合お役立ち企業
—— 実際に横浜の地域を回ってみて、どういったものをお感じになられていますか。おそらく東京とはまた違った雰囲気だと思うのですが。
青沼裕(以下、青沼) 神奈川全体としては地場企業が多いのですが、みなとみらい地区だけで見ると、出先の企業様が多いという特徴があります。われわれとしては地場のお客様がもっているよさ、この地域の強みをきちんと提供するかたちでの営業をこころがけています。
では横浜のよさとはなにか。富士ゼロックスグループとして見たときに、われわれの中枢機能がここに集まっているわけですから、その機能を活用し、私どもが企業としてもっているメリットを充分に活かしたかたちでのご提案をすることが第一です。それは、たとえばさきほど磯貝が報告をした地域プロジェクトの紹介であったり、また加藤から話のあった、複合的な会社機能が集まっているからこそ実現できる、きめの細かいサポートだったりします。
私が横浜に配属されたのは、ちょうど13年前になります。当時、神奈川としてなにをやるのか、地元のお客様へのお役立ちの部分をどう展開するのかを考え、「総合お役立ち企業」を目指す方針を立てました。お客様を第一に考え、お客様のお役に立つ——その精神はいまも受け継がれています。
お客様が必要としているものをもっともっと理解しなければいけないということから、7年ほど前にブランドのコンサルティングを導入しました。「コンサルティング・アイ」といいます。富士ゼロックス神奈川=コンサルティング・アイという声の下に、全員社員がお客様目線で、お客様の考えをきちんと感じとって、本当の意味でお客様の助けになる提案をできる営業をやろう、そういう販売会社になろう、その理念で展開してきています。
■つながりを生み出すコンサルティング・アイ
岩谷真史(以下、岩谷) いまお話をうかがっていて、すごく納得しました。じつは弊社も富士ゼロックス神奈川さんのお世話になっているんですね。
磯貝 ありがとうございます(笑)。
岩谷 石井田さんにご担当いただいているのですが、石井田さんに弊社とお仕事がご一緒できそうなお客様をご紹介いただいたことがあります。ふつうであれば自社製品の営業だけしかやらないのに、まさかお仕事のご紹介をいただけるとは思っておらず、非常に驚いたのですが、いま皆さんのお話をうかがっていて、そういう考えで動かれているならと、理解することができました。
青沼 コンサルティング・アイという顧客目線をもち、お客様との関係性をもっともっと強くもっていくためにいろいろな仕掛けをしたいということで、9年前にVIPセミナーというかたちでの交流会をはじめました。最初は30~50名くらいのお客様をご招待して、著名な方を講師としてお招きした講演会を開き、お客様同士が交流する会です。
通常、講演会を開催してお客様を接待することはどこでもやっていると思いますが、われわれとしてはお客様同士をつなぎ合わせることを一番の目的にしています。それがコンサルティング・アイのひとつの在り方でもあります。お客様がなにを望んでいるのか。そこを徹底的に考えて、望んでいるものがある程度実現できるような、そういう会をつくっていく。
9年前に第1回を開催して以来、半年に1度ずつ継続して行なってきています。いままでに14回催して、4年前からは社団法人神奈川政経懇話会との共催になりました。共催になってからは年に2度のセミナーをふたつにわけ、ひとつを「トップセミナー」としています。こちらは企業経営陣を対象に開催するものです。VIPセミナーは経営幹部以上の方々をお招きして、お客様同士の連携を生み出すことを目的にしています。
9年間活動を継続してきて、いまではご参加いただいたお客様から開催をつよく望まれるような状況になり、会も発展してきています。その延長線上で、協賛企業様にもつぎつぎご参入いただいて、その方々も一緒になってお客様同士をつなぎ合わせるかたちでやってきています。
それと、去年からは「神奈川企業成長塾」もスタートしました。これは主に神奈川県内の若手の経営者同士、とくに二代目の方々のコミュニケーションを促す場です。幅広い研修プログラムなど、われわれが提供できるものを用意して、若手経営者の育成に乗り出しています。林市長もご賛同くださり、第1回目は市長みずから講師をお務めくださいました。これは年に1回程度の開催で継続していこうと思っています。